水貼ブロツクの造り方


『みづゑ』第八十三
明治45年1月3日

 旅行の時に一々紙の水貼をするは面倒なもので、終日寫生して疲れて居る時は殊更にイヤなものなり。さればとて普通のスケツチングブロツクは、繪具を彈き、膨れ上りて描きニクし、此點に於て水貼ブロツクは便なり、其法、まつ旅行前に入用だけの紙を用意し、畫板に普通の水貼をして、其乾きし上へ更らに第二枚目を貼り、又其上へ第三枚目と言ふ風に順次重ねて貼る。何枚重ねて貼っても同じ理窟だ。繪を描き終つたら小刀で上の一枚を?がすので、此時注意しないと下の分まで?がすことがある。ワットマンを一度水に浸すとよく風をひくが、此法を用ふれば中の方の分は空氣に觸れないから其心配が要らない、

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