春鳥會々員規定(假)

春鳥会シュンチョウカイ

春鳥會
『みづゑ』第八十三
明治45年1月3日

 一本會は水彩畫の發達及び普及を目的とす
 一本會の趣旨を賛するものは何人と雖も入會する事を得
 一正會員は自己製作品の批評を受くることを得べし
 批評は隔月一人三枚迄一、三、五、七、九、十一、の年六回○作品には其裏面若くは別紙に寫生の月日、時間、其日の晴曇其他必要の説明及己自の姓名を明記すべし、是等の記入なきものは批評せず○作品は板紙に挿みて送るべしなるべくは桑田式を便利とす、巻きて送るものは其儘返送すべし○其月五日迄に送らるれば三十日迄に返送すべし
○作品と同時に相當返送料を送らるべし、但一時に數回分納附するも妨なし
 一會員の作品は鑑別の上本會展覽會に出品するとを許す
 一會員には本會の出版物を實費にて頒つべく其他本會と直接關係ある出版物の類は割引價格を以て頒つべし
 一會員には一年數回本會便利販賣部の物品代價割引券を贈るべし
 一會員の望により一枚につき金五圓以上の擔保金を納むる時は本會幹部諸員の肉筆水彩畫を貸與すべし
 貸與期限は二週間○圖柄及筆者を指定する事を得ず○逓送其他の實費として一回につき金五拾銭を前納すべし○擔保金は繪畫歸着後二週間以内に返戻すべし○貸與せし繪畫に損傷紛失等ありし時は擔保金を沒収し價格に不足を生ぜし時は追徴すべし○貸與請求は毎月二十日より三十日迄とす
 一特別會員たらんとする者は一時に拾五圓以上を納むべし
 正會員と同等の待遇を與へ永久『みづゑ』の無代配付をなすべし
 一正會員たらとんする者は入會證書、履歴書に記名料金壹圓を添えて申込むべし
 入會證の用紙は半紙に限る、文面は適宜なれども必ず捺印を要す○履歴書には住所身 分職業姓名年齢及學歴等を明記すべし
 一會友は一般『みづゑ』の愛讀者にして本誌の直接講讀を申込む者とす
 一會員は當分會費を要せず
 一退會せんとするものは其理由を明記せし届書を出すべし但記名料等は返却せず
 一正會員及會友は雜誌『みづゑ』直接購讀者たるべく『みづゑ』の購讀を中止し半年を経過せ呈し時は退會と見做す
 一會負及會友は各自技術の進歩を努むると同時に、品性を高むる事を心掛くべし
 本會は温良なる紳士淑女の集合に成れる品格ある一團體として社會に立たんと欲す、故に會員は技術の進歩と共に品性の修養に重きを置かれたし
 一會員に關する一切の事務は、東京小石川區關口駒井町大下正男方に於て取扱ふ○會員よりの郵便物類も總て同所宛たるべし
 明治四十五年一月
 春鳥會

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