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『みづゑ』第八十七
明治45年5月3日

□原色版『山形風俗』はワツトマン九ツ切。『綠色の流』はワツトマン半切大にして、場處は信州上高地、穗高山の麓なり。
 『糸満の刳舟』はワットマン四ッ切大にして琉球の寫生。『飯坂』も四ッ切大にして、昨年五月故人が飯坂、鹽原方面に旅行せられし時の作品なり、本誌八十四號、飯坂と鹽原の旅行談を參照せられたし。
□ニコルソン氏は有名なる挿畫畫家にして、本號所載の『Coaghing』は戸張孤雁氏の所藏せらるゝものなり。
□日本水彩畫會三月例會は三十一目開會、岡、永地、眞野氏出席出品點數六十六點、本誌所載河上左京氏作『女』はワットマン四ッ切大にして出品畫中の秀逸の一つなり、寫眞版不出來にて原畫の趣を失ひしは遣憾なり。
□次號には石川欽一郎氏の『風景』相田寅彦氏の『習作パンヂー』坂本繁次郎氏の『裏畑』故大下藤次郎氏の『遺作』を原色版として掲載すべく、太平洋畫會出品畫、及び青木繁氏遺作を寫眞版として挿入の筈
□展覽會出品畫の原色版は製版間に合は、ざる爲、來月號に掲載出來ず追々掲載すぺし。
□岩村透氏及び岡田三郎助氏の寄稿を本號に掲載のはづなりしが、締切の都合により鵜澤氏の『續三脚物語』服部氏の『繪畫美學』石川欽一郎氏の『調色について』並に山崎紫紅氏の『劇の背景等』と共に次號に掲載すべし。
 口小林鐘吉氏山本森之助氏は今回本誌の賛助員たるを承諾せられ來月號より寄稿せらるる筈なり。

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