問に答ふ
『みづゑ』第八十七
明治45年5月3日
■一、絶對的に陰影の部に透明色を用ゐ日光等の直射せる部分は不透明色を用ふべきものにや。二、ニユートン製繪具にSL、SO、NO、等の符號ありその意御敎示下されたし。三、比較的變色又は褪色せざる綠色の繪具(單獨に又は混合色に)を御敎示下されたし(成節生)◎一、否自然に其樣な規定のあるべき筈なし、只比較的そういふ場合の方が多いといふに過ぎない、二、SDの符號のある色は、スペシャル、リストの色で之は互に如何う交ぜ合せても變化も變色もせぬ事が保證されてあるものゝ由(八十四號石川欽一郎氏談)
二、美しき綠にてはビリジヤン、くすみたる綠には、オリーブクリーン等比較的不變色なり。
■一、水彩水貼縁貼紙を手製せんとす其方法を問ふ、二、連近法を學ぶには如何なる事物が宜しきや適當の艮書を御示し下され度し◎一、美紙或は礬水引等の紙を横に三四分位の巾に切ればよし、紙は摸造紙等にてももよし、二、小島憲之、川村孝共著、用器畫敎科書透視圖法(三之巻)發賣所は京橋區南傳馬町二丁目目黒書店。
■一、洋箇を學ばんには研究所に入ると畫家の門生たるとは何れが宜ろしきや、二、日本水彩畫會研究所生徒男女數及び全會徒の年齢の制限を知りたし、三、生徒の品性最も高く成績最も善良にして其他の設備の完全なる理想的の研究所あらば知りたし、(豊臣秀吉の孫)◎一、美術學校か又は研究所に入るを可とす。二、現在の出席者人數各科を通じて五十人程、目下女子の通學者は一人なり、年齢の制限なし、三、不明。
■一、日本水彩畫會研究所を卒業し如何なる道に入れば畫伯に成り得べきか。二、故大下先生の畫集の發行期を問ふ。三、關西支部事務所々在所を問ふ。四、本年は夏期講習會を開會されまませんですか。◎一、藝術は一生の研究なれば他の學科の如く、規則的にどう云ふ方法がよいと云へない、只當人の心掛次第である、才分の必要なる事は勿論である、其上に健固なる意志と、眞面目なる研究を續けると云ふ事が肝心である。二、未定、三、巻末の水彩畫會會告の内を見られたし。
四、未定。