讀者の領分

■『みづゑ』四月號は、挿繪も本文も、皆非常に有益な物ばかりでした、毎號このように、内容の充實した雜誌を、出して下さるのは、我等の大なる幸と思ひます、深く編輯の方々ヘ感謝します。岩村、岡野、岡田、吉田、藤島、諸先生が、賛助員たるを承諾された、との記事を讀んだ時、心は躍りました。（成節生）■八六號の繪畫は眞に善くあつた、奮つて居た、第一枚目の原色版ハドソン河はさすが萩原氏の筆に成りしものにして非常によく感じが著はされて居る、アルプス山中の白雲岩、馬鹿に大きな岩がつったって夕陽に反射して居る、樣いかにも立派だ直ほ小島氏の山岳水彩畫家を對照して見ると又一段面白かつた、故大下氏の椿は實にうまい、目がさめるやうな奇麗な色を使はれて描かれて有る、本誌に故人二人の原色版が出て居る故に直ほコスモスを思はせる、肯像畫は背色と前略がつり合ふ、戸張氏の餘興頗る得意世界天地我一人か?大下先生の繪日記實に巧に描かれて、一線も無駄がない、榎本氏の雪の朝當地にもこんなのがある、終りに臨んで私のみづえに對する希望は原色版挿繪を多くしてもらいたい、故主筆が歸らぬ旅路に途かれても續々斯道の大家が賛助下されるは愛讀者の此の上ない希望である、益々貴會の隆盛を祈る、又誌上に各大家の肖像を寫眞にして出してもらいたい（無名氏）