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『みづゑ』第八十八
明治45年6月3日

□原色版『臺灣の沿岸』は同氏最近の作にして、ワツトマン八ッ切大に御座候。
■『谿』はミツ川を寫されしものにて、原畫はワツトマン九つ切に候。
□『裏畑』前に早稻田の装飾美術展覽會に出品致されしものにて、やゝ明白過ぎ爲めに原畫の趣を失ひ候、所藏者池田氏が特に本誌の爲め貸輿せられしは深く謝するところに候。
□『パンヂー』今年四月中の習作の一にて、ワツトマン八ツ切大に御座候。
□來月號挿畫には、故青木繁氏の『春』並に『よもつの國』を掲載の筈にて『春』は原色版『よもつの國』は寫眞版と致すべく候。其他篠原氏の『洗濯』山本森之助氏の『甲州御嶽』大下氏の『劇の背景』を出すべしく、山本氏の水繪は珍重すべきものにて本誌の爲に特に貸與せられしものに候。
 『劇の背景』は故人が山崎紫紅氏の依頼に應じて執筆されしものにて、山崎氏が秘藏の品にて候。
□本號を展覽會號とせし爲め諸家よりの寄稿を掲載する能はざりしは非常に殘念とする所にて、次號には石川氏の『中學生と水彩畫』山崎氏の『劇の背景』(一)、磯氏の『私に畫が描けたら』(二)、鵜澤氏の『續三脚物語』(四)、其他全部掲載の筈にて候。
□齋藤與里氏、板本繁次郎氏、柳敬助氏は今回本誌の賛助員たる事を許容され今月より寄稿せらるゝ事と相成り候。
□雜誌御注文の節は必ず何號よりと其の號數を御指定願ひ度、御忘れなき樣御注意被下度候。
□繪畫に何等の關係なき紀行の如きは採用致し兼ね候間其の樣なものは御見合せ被下度候。
□會友にて特約店文房堂の割引券御入用の方は、郵券御拂込み被下度戸引換御送付致すべく侯。

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