寄書 みづゑの側面觀
成節生
『みづゑ』第八十九
明治45年7月3日
私は五月の新國民なる雜誌で左の記事を見た。
みづゑ 本誌は水彩畫專門の雜誌也、斯道の名流大下藤次郎 氏が多年異常なる熱心によりて經營せし者なるが、氏沒後尚 氏の門下及び知人によりて繼續刊行せらるゝは喜ぷべきこと 也。一巻を擧げて水彩畫の描法及び之に關する興味多き話説 を録し、三色版、寫眞版、コロタイプ等に印刷せる名家の作 を掲げて初學の範たらしむるなど、後進の指導を念とする本 誌の用意を窺ふ可し。水彩畫に志ある人は須らく就て學ぶ所 あれ。
と、こゝに録して同好者に示し、あはせて「みづゑ」の發展を祈るのである。