繪ハガキ競技會記事
『みづゑ』第二
明治38年8月3日
六月二十五日第十三回開會、出品者、客員、會員合せて三十七人、出品數百五十九枚、選評の結果左の如し。
課題 五月雨(意匠)竹(技術)
一等白藤に傘野口六三籠三條千代子
二等寫生箱の欠呻堀内凡水景色瀧島寛水
三等 ワツトマンの星瀧島寛水おもちゃ鵜澤四丁
四等新緑に小鳥小林球郎旅山田全一
五等雨傘に菖蒲高畠徴平竹藪横田順三
六等暦に花千葉紫艸釣竿野口六三
七等半靴の欠呻巖谷小波竹叢小林珠郎
八等蝸牛巖谷爽日吐月峯巖谷小波
九等田植大橋三平竹籔津雲孝
十等 蝸牛 山田全一扇面 金子貞
十一等猫小林福太郎竹林巖谷爽日
十二等菖蒲に雨近藤紫雲竹の園生千葉紫艸
(以下略)
意匠の一等、五月雨に白藤はとの難ありしも、繪もよく色も上品なりしため遂に首位を占めたり。五等は有觸れたる意匠なれど配置巧なりき。六等は成美論の細線美しく、七等は見たら笑はずに居られぬといふ頗る可笑しきもの、九等は田植笠の中に雨景を現はしたる、一寸思つきといふべし。
八月課題跡(意匠)月(技術)八月二十日締切二十七日開會
△意匠の課題跡とは指の跡、筆の跡の如き狭義のものにて、後のあとにあらす。