繪ハガキ競技會記事
『みづゑ』第十
明治39年4月3日
午(意匠) 梅(技術)
一等繪馬相田寅彦懸想文鳥飛井信
二等桂馬金江龜田舍家相田寅彦
三等繪馬瀧島寛水梅信山田全一
四等下馬札丸山廉梅ケ枝瀧島寛水
五等初午中尾春雄机上の梅榎本滋
六等午飯須崎俊治花信牛木いと子
七等渡舟和賀井恂探梅小林誠之助
八等騎兵森幹男吉野村の梅須崎俊治
九等桂馬三上卓之助鉢の梅牛木勇
十等馬盥の故事犬飼荘水梅の里津雲孝
十一等白馬の節會山田全一野梅佐藤清
十二等 轡平澤光雪巾の梅赤城泰野
十三等繪馬津雲孝梅一枝鵜澤四丁
十四等富士山下野口六三農家の梅和氣濁流
十五等荷馬河原瓢乎野梅井上清一十六等竹馬福島美登里旧舍路大橋三平
十七等午の方角村上英雅里の梅久保白泉
十八等正午俵田孤瓢梅の家和賀井恂
十九等桂馬後藤百次野梅村上英雅
二十箏競馬柳田春次郎庭の梅若島八郎
二月二十五日開會、出品者五十四人、出品數百九十一枚、選評の結果上記の如し。
意匠に於て繪馬及桂馬の圖案多かりし。相田氏の作は簡潔にして面白ければ折を見て石版に附すべく今回は寫眞版を登載せず。須崎氏の作は色調整いて心地よく、後藤氏の作には奇抜なるものあれど畫面明快ならず繪葉書としては不利益なるべし。
猶當日は怖しいものといふ題にて繪ハカキの合作を試みしが、地震、雷、火事、親爺のほかに幽靈あり、斷頭臺あり、試驗あり、借金ありその他さまさまの趣向出てゝ時の移るも覺えず興じたりき。
四月課題
夕暮(意匠)
櫻(技術)
四月二十日〆切
四月二十八日開會