評
『みづゑ』第十
明治39年4月3日
◎寫眞例題集第十八巻
大阪桑田商會發行
疊紙入一組金三十錢
風景寫眞十葉を集めしもの、それぞれ苦心の結果と覺しくよく題意にかなひて美しく一啻に寫眞家の好指針たるのみならず又畫家にも參考となるべし。就中雨後の朝霧、遠山の殘雪位置最も佳なりと思ふ(お、お)
◎色鉛筆畫教科書上下
◎考案畫教科書上下
下谷櫻木町晩成處藏版
神田小川町大野書店發行
疊紙入各金三十錢宛
何れも中等教育用にとて和田英作氏の執筆せられしもの、前者は五圖を一組とし、簡單なる靜物動物風景の寫生畫にして、色數に制限あればにや、稍々物足らぬ點もあれと、色鉛筆を弄ぶものには好參考品たるべく、後者は木版刷にて各七圖を供へ、古今東西の圖式模樣を參酌して編せられしもの從來世に行はる、模樣雛形の類と異なり、應用の法も示しあれば、單に初學者のみならず、一般工業家にも必要のものなるべし。
(M、K、K)