猫のいたづら
三木生
『みづゑ』第十一
明治39年4月18日
話しは違うが、も一ツ僕のがつかりしたのは、此頃宅の二階に鼠が荒れるので、日頃來つけて居る猫が二階へ飛び上つたのを是幸と其儘放任して、寝てしまつた。翌朝起き出て、二階の書齋は入ると、大切の習畫帖、而も大半書いてしまつてある上が變に濡れて居る、よく調べて見る、ニヤン公先生、階下の襖が閉つてるので、出る所がないものだから、習畫帖から床板へかけて、小便をしたゝかしたのてあつた。是には始んど閉口頓首、仕方なしに終日雨に浸して、日に就いたのを、遊びに來た里の兒にやると喜んで持つて返つた。