倫敦の流行(欽)
『みづゑ』第五十四 P.19
明治42年9月3日
此頃倫敦の青年間に流行するに蕃カラを装ふことにして顔面を穢く見せんが爲め日中帽も被らずに歩く位のことは兼てより爲せる處なるが今や自働車の流行あるより恰も自働車乗の如き風を爲し衣服に塵を着けて長途の駛行より還へれる如く見せ襟飾を一寸曲げたるは意匠を示せる處にして疲れ足をひきずり鼻頭にシミを付けて置く如きは更に妙なりと云ふ之を我邦青年のコスメチツクと白粉とに比して其差果たして幾何(欽)
『みづゑ』第五十四 P.19
明治42年9月3日
此頃倫敦の青年間に流行するに蕃カラを装ふことにして顔面を穢く見せんが爲め日中帽も被らずに歩く位のことは兼てより爲せる處なるが今や自働車の流行あるより恰も自働車乗の如き風を爲し衣服に塵を着けて長途の駛行より還へれる如く見せ襟飾を一寸曲げたるは意匠を示せる處にして疲れ足をひきずり鼻頭にシミを付けて置く如きは更に妙なりと云ふ之を我邦青年のコスメチツクと白粉とに比して其差果たして幾何(欽)