報告


『みづゑ』第六十八
明治43年11月3日

 拜啓書面を以て展覽會の大略報告申上候
 十月十五日雨天
 午后より會場の仕度に取りかゝる、萬事手違ひにて非常に遲れ學校よりは午后九時以後の夜業を禁ぜらるために幕を張りしのみにて終り。
 幹事の心痛一方ならず、夜田中宿直。
 十月十六日晴後大雨
 午前五時より額かける、九時に至るも未だ第二室は半分程かゝりしのみ、幹事連大いに苛立つ、觀者續々と來る、壹室のみ觀覽を許す。
 十時萬事調ふ。休憩室出來、眞中に菊花を、第一室第二室へ青木を飾る、體裁大いに振ふ、十時半、小島氏山崎氏磯氏來る。
 十一時前後、二日中最も入場者多數の時にて、室内暗くなる程に至る、幹事連とび上りとび上り喜ぶ。
 二時半より雨となる休憩室大いに賑ふ。
 六時閉會、入場者千人以上、賣約ずみ二點。
 十月十七日雨天
 朝七時前より觀者來る、雨なれ共相變らず大入なり、午后、會員小林氏會場内寫眞取る。
 六時閉會、直樣取りかたづける、九時全部終り。
 再三見廻る手落なし。
 入場者六百人以上、賣約ずみ參點。
 大略右の如くに御座候。
 一般觀者は非常の滿足にて大好評に御座候。
 出品者氏名左の如し
 横濵支部中島富之助二點、平野環五點、高畠和雄七點、三堀一郎三點、小林彌太郎二點、關水和助二點、北村不二松一點、保田誠治六點、輕部雅太郎五點、田中太郎吉十點、吉田仙太郎三點、鷹野さい子四點、佐羽麟太郎三點、大下講師二十一點、東京研究所竹内久子一點、奥村博四點、松山忠三三點、八木定祐三點、赤城泰舒四點、相田寅彦四點、篠原新三二點、尾崎定次郎二點、瀧澤靜雄三點、船樹忠三郎三點、榎本滋四點、望月省三三點、奥村熊四郎一點、水野以文二點、吉田豊三點、寺内季一五點、其他參考品として丸山、大下、中川、中澤、河合、茨木、三宅諸氏の分廿一點合計百四十二點、
 以上(支部展覽會幹事報告)

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