パステル畫の展覽會
『みづゑ』第八十三
明治45年1月3日
此頃巴里に英國十八世紀頃のパステル畫の展覽會があつた、英國にては十八世紀が此畫が最も流行したので、其は佛國の流行と期を同くして居る、しかし、英國のは遂に佛國の名手ラツール、べロンノーに及ばないのである、兩國の婦人作家の多かつたのは注意すべきだ、此展覽會ではよくパステル特有の色彩と光線とを發輝する事が出來た、此頃のパステリストは此材料で近代的油畫肖像の模造の樣な事をやり初めた爲め此顔料の特色の面白味を失ふてしまつて居る、畫をかく事は其材料の特質を忘れてはならない、又此展覽會でパステルの保存の非常によい事が知れたカザリン、リードの作品――此は、一七七八以前に仕上げられたのに相違ないが、其色調と云い、心持と云い、★畫いたと云はれても解らない程よかつた、出品畫中リチヤードゴスウエー及ピーター、ロムネーの作は目出つて居た此所には、ロムネイの作を一つ出して、置かう、