讀者の領分


『みづゑ』第九十
大正元年8月3日

▲僕は先月號で廻覧帖の計畫を發表した處が不幸にしで住所姓名が漏たので意の如く成らぬなかつた。で僕は本號を借りて今少し細かく内容を發表しようと思う。先づの大きさはワットマン廿五切(六二・四二)〆以下、一人一枚以上、繪畫説明は別紙に細記すべく、巻末に需供案内、通信欄及び互評欄等の頁を備ふる考で巻成るに及びて廻覽★一着として僕の理想は春鳥會の先生方に御校閲を御願致す希望である。諸子よ乞願はくば僕の計畫に御賛助あらんことを!御賛成の諸子は下名迄御送附を。七月號で長野の横川毅君がたそがれ會なるものを設立した。
 僕は彼會の大いに發展されんことを祈る。横川君よ以後はお互に便宜を計られんことを希む。千葉縣山武郡鳴濱町白幡藤田勝吉方「きさらぎ會」宛
▲此回赤城先生は特に吾々のために此の「みづゑ」經營に御盡力なし下さると誠に吾々は大下先生を突然失つて以來日暮れ旅遠く將に草鞋まで切れんとする状態であつたかゝる所にかゝる報に接し僕は一人で寄宿舎の廊下を飛び廻って喜んだ鳴呼何の幸福か之に加へんやだ。こんどはお願ひ大平洋畫會出品眞野氏の椿、夏目氏の靜物鶴田民の男の肖像の原色版かみたい、どうぞ願ひます、(宮崎T、H、)

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